History of Raisins and Dried Fruit

レーズンとドライフルーツの歴史

歴史が無味乾燥だなんて誰が言ったの?

レーズンとドライフルーツの面白い歴史

果物を太陽と空気にさらして乾燥させるというのは最も古くから行われている食料保存法の 1つで、例えばブドウがレーズンに、生のイチジク、デーツ(ナツメヤシの実)、アプリコット、プラムがそれぞれを干したものに変わります。レーズンとドライフルーツはシンプルで健康的な食品です。このような食品は合成食品・冷凍食品・缶詰・加工食品が登場するはるか以前の何千年も昔から、基本的に同じ方法で、自然が育て、人が「作って」きました。

文明の夜明けの時代から、人はレーズンの味を楽しんできました。レーズンの人気を西洋全域に広めたのは古代フェニキア人とエジプト人です。長期保存が可能で、輸送も簡単なことから、レーズンはクリストファー・コロンブスと共に航海し、マウントバーノンでジョージ・ワシントンの舌を楽しませ、 1908年のロバート・E・ピアリーによる北極点到達を助け、1962年にはスコット・カーペンター宇宙飛行士に付き添い、宇宙に飛び立ちました。

レーズンとドライフルーツについての面白い出来事を年代に沿って見てゆきましょう。

紀元前 3500万年−Vitis sezonnensis(ヴィティス・セゾネンシス)!舌を噛みそうな名前ですが、これは現在知られている最古のブドウの学名です。この植物は現在のフランス南部に繁茂していました。これが後に、今日最もよく栽培されている品種であるVitis vinifera(ヴィティス・ヴィニフェラ)に進化します。

紀元前 6000年−この頃、トランスコーカシア地域(現在のアルメニア、アゼルバイジャン、グルジア)でブドウの栽培が始まったと言われます。プラムとプルーンの栽培が盛んになったのもこの頃です。果物を乾燥させると、生のときよりも味と甘みが強くなることがわかってきました。

紀元前 4000年−この頃、ブドウ栽培がチグリスユーフラテス川流域(現在のイラク)に広がり、この周辺で栽培されていたイチジクやナツメヤシなどの乾燥に適した果物の仲間入りをします(ナツメヤシはこの地域が原産ですが、アフリカとアラビアにも多い植物です)。

紀元前 2400年−この時代にエジプトのナイル川デルタ周辺でブドウ栽培が始まります。その様子は寺院の彫刻、モザイク、絵に遺されています。

紀元前 2000年−どうぞ召し上がれ!青銅器時代には、ブドウが家庭で食べられるようになります。その証拠として、現在のスイスにある住居跡でブドウの種が見つかっています。

紀元前 1700年−この時代に、古代シュメール国家ウルクの王の冒険を称え、ブドウとブドウ畑のことを歌ったみずみずしい詩「ギルガメッシュ叙事詩」が書かれます。これは史上最古の筆記文学と考えられています。 

紀元前 1500年−インド、ペルシャ、アラビア全土にドライフルーツの知識が普及し、台所だけでなく、有名な物語集などの民話にも登場するようになります。

紀元前 900年−ローマ人兵士かフェニキア人商人がイタリアを経てイベリア半島と北アフリカに新しいブドウの品種を伝えます。それはマスカットで、おそらくギリシャで生まれ、ローマ時代のフランスとドイツに広まったものと思われます。

紀元前 218〜203年−史上最も有名な軍人の 1人に数えられるカルタゴ人の将軍ハンニバルは、第二次ポエニ戦争でアルプス越えをしてローマ人兵士の不意を突きましたが、そのときのカルタゴ人兵士たちのエネルギー源となったのがレーズンでした。

紀元前 154年−古代ローマでは、レーズンは貴重品でした。レーズンはスポーツ競技の賞品として、税金の物納に、万能薬として、物々交換の品として、さまざまな用途に使われています。ローマの人々はレーズンの豊かな恵みをまさにバッカスのように堪能していたのです。

紀元後 100年−偉大な美食家のマルクス・ガヴィウス・アピキウスは、古代の料理本作家で、世界初の料理本を作った人です。彼の小魚のスフレと子牛肉のフライの調理法には、重要な材料としてレーズンが使われています。

1095〜 1291年−金と同じ値打ち。十字軍遠征の時代、ヨーロッパと他の地域との交易が激増します。特に需要が多かった食品は、もちろんレーズンです。 

1300年−ヨーロッパでレーズンの売買が盛んになるにつれ、「ポタージュ」や「フルーメンティ」(肉か魚にレーズンとカラントを加えた料理)などの美味しい料理が、大陸全域に広まります。

1374年−レーズンのインフレ!英国でレーズンの価格が1ポンドあたり2ペンス3ファージングという前代未聞のレベルに急騰します。

1400年−レーズンパンの普及。ドイツではクリスマスにシュトーレンというパンを食べます。イタリアではパネトーネと呼ばれます。ロシアではイースターにクリーチというレーズンをまぶしたパンを食べます。

1492年−クリストファー・コロンブスをはじめとする船乗りたちは、長期保存の利くレーズンが公海をわたる旅の友として完璧であることに気づきます。他の食糧と共に、レーズンもニーナ号、ピンタ号、サンタマリア号に積まれました。

1513年−干して使うために適した実がなる果樹をスペイン人が西インド諸島に輸入し始めます。後に、それらの果樹はメキシコとアメリカ南西部にも広がります。

1595年−イチジク入りプディングの登場です。「フルーメンティ」中のレーズンその他のドライフルーツにパン粉、酒、卵を加え、伝統的な英国の「プラムプディング」が誕生します。英国よりも南では、スペインでレーズンからドライとスイートのワインを作る製法が完成します。

1615年−セルバンテスが現代欧州言語(スペイン語)で書かれた最も初期の小説の1つであるドンキホーテ第2部を書き上げます。その中で、アラビア語の翻訳者にレーズンで支払いをしたことが書かれています。

1683年−クリスマスにはフルーツケーキを!トルコ人によるウィーン侵略で、オーストリア人は豊富な中東の果物と出会います。生き延びたことを祝い、ウィーンの人々はクリスマスの朝に、レーズン、レモンとオレンジの皮、アーモンド、スパイスを詰め物にした「グーゲルフップフ」というドイツ風リングケーキを食べます。

1736年−「パンが無ければお菓子を食べれば?」王国なき王として知られるポーランド王、スタニスラス・レクチンスキーはフランスに亡命します。そこで彼は「バーバ」というレーズンを使ったデザート風のパンを創作します。

1754年−ジョージ・ワシントンの長年にわたるマウントバーノンでの暮らしが始まります。ここでは食卓にレーズンが切れることはありませんでした。妻のマーサは骨髄、パン、砂糖、レーズン、カラントで「プラムブロス」という料理を作りました。彼女の夫はそれを「結婚以来ワシントン夫人が成し遂げた最大の成功」と宣言します。

1800年−アメリカとイギリスの家庭は台所が中心で、料理法の本は貴重な情報源でした。料理本ではさまざまな料理にレーズンを入れるよう勧めています。陽光あふれるカリフォルニアのキリスト教伝道施設で、果物の栽培が盛んになります。

1838年−商品化の夜明け。ケンタッキーの猟師だったウィリアム・ウォルフスキルがカリフォルニアに移住し、ロサンゼルス近郊で最初の食用ブドウ園を始めます。ブドウは1本あたり1「ビット」(12.5セント)の値段でカリフォルニア北部の採金者向けに出荷されました。

1872年−カリフォルニア州サッター郡のブドウ農園主ウィリアム・トンプソンが、ニューヨーク州ロチェスターのアルミラ・バリー種苗園からサルタナ種の種なしブドウの台木を購入します。彼の先見の明は、冬に起きた突然の洪水でサルタナだけが生き残ったことで報われます。

1873年−幸運な偶然。カリフォルニアでウィリアム・トンプソンの種なしブドウの商品栽培が始まります。フレズノ郡で偶然いくつかの房が乾燥し、最初のレーズン用商品作物が生まれました。それはサンフランシスコに運ばれ、「ペルー産の珍味」として売られました。

1875年−トンプソンがサルタナ種ブドウを地元の農作物品評会に出品します。正式名を知らなかったトンプソンは、それを「トンプソンシードレス」と名付けました。この名前がその後も残り、トンプソンシードレスはカリフォルニアのブドウ、レーズン業界の基礎になりました。皮が薄く種なしで豊かな風味があり、この品種からは最も簡単に最高のレーズンを作ることができます。

1880年−1エーカーあたり 3〜20ドルという安い地価と乾燥した気候により、ロサンゼルスの東の地域とサンワーキンバレーが、カリフォルニアに広まったレーズン生産の舞台になります。サンワーキンバレーは全米に出荷する最大の生産地域に成長します。

1881年−フレズノ郡に最初のアルメニア系住民が到着し、レーズン生産について古くから蓄積された専門知識をもたらします。

1900年−レーズン生産は地中海とカリフォルニア以外の地域にも広まり、オーストラリアやチリでも生産が始まります。

1900〜 1904年−ロバート・ファルコン・スコットが南極探検に出発します。糧食にはレーズンが入っていました。

1908〜 1909年−ロバート・E・ピアリーの北極点到達では、ペミカン(干し肉、ベリー類、脂肪を混ぜた北米先住民の保存食)とレーズンが隊員を助けました。

1962年−スコット・カーペンター宇宙飛行士はレーズンが詰まったグラノーラ・タイプのお菓子を食べ、宇宙にレーズンを持参して食べた最初の人になりました。

現在−何だって?ポリフェノール化合物!最近話題の食品成分ですが、それならブドウとワインに高濃度で含まれています。古くはローマ時代から健康増進に良いと信じられてきたポリフェノール化合物については、抗酸化作用その他の健康増進特性に注目する現代の研究者により、いまだに研究が続いています。

 

グレープ&サンシャイン
サンメイドのレーズンとドライフルーツは「アメリカのお気に入り」として評価を得ています。
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